知っておきたい「have to」と「must」の違いトップイメージ

知っておきたい「have to」と「must」の違い

中学生がhave toとmustの違いに困っている

 英会話中級者と初級者との大きな違いは、“英会話フレーズを上手に使いこなせる事”が1点、そして“フレーズを選んで相手と話せる事”が2点目として挙げられます。

 その大きな理由として、初級者と違いある程度の英語を使いこなす事ができるため、相手は初心者の頃のようにフレーズのニュアンスをそのまま受け取ってしまうからです。

 例えば、日本語がほとんど話せない外国人から片言の日本語で「ミチ オシエロ」と道を尋ねられた場合、この人は外国の人なのに“日本語で話そうとしていて偉いな”と言う印象になりますが、ある程度日本語が話せる外国人から「道をオシエロ」と言われると、思わず“嫌です”と反発したくなってしまいますよね(笑)?

 それと同じで英会話中級者になると、フレーズを選んで英語を話さないと思わぬトラブルになってしまう事があります。

 そこで、そんなトラブルを避けるために、ここでは日本人英会話中級者がトラブルになりやすいフレーズ、「have to」と「must」の違いについて紹介してみたいと思います。

 ここで紹介する「have to」と「must」の違いについては、少しレベルの高い“英語でのニュアンスの違い”にまで話が及ぶため、「have to」と「must」について“まだ知識が浅い”と思われる方は以下の初心者用の解説を先に参照して頂けると理解が深まるかと思います。

「have to」と「must」の否定文

 「have to」と「must」の最大の違いは、初心者用のページでも紹介していますが「否定文(否定形)」での意味の違いが挙げられます。

 「not have to」は「~しなくても良い」と言う訳になる事に対して、「must not」は「~してはいけない」と言う禁止の意味を持つフレーズになります。

 この事から分かるように、まず「have to」と「must」の違いとして覚えて頂きたいポイントは、「have to」と比較して「must」強いニュアンスを持ったフレーズだと言う点です。

「have to」と「must」の意思で別れる

 「have to」と「must」において、「must」の方が強いニュアンスを持つフレーズだと理解して頂く事ができたと思うのですが、例えば「I must go to the hospital.」と「I have to go to the hospital.」の違いについては理解できるでしょうか?

 この2つのフレーズは、どちらも日本語訳をしてしまうと「私は病院に行かなければいけない」と言う意味になるのですが、実は、この中身は少しニュアンスが違っています。

 まず、「have to」と言うのは外的要因が加わった事により「~しなければいけない」と言うニュアンスを持っており、一般論的に「~しなければいけない」時に使われます。

 つまり、「I have to go to the hospital.」と聞くと、事前に友人から「お前、最近顔色が悪いぞ!明日、絶対にいけよ!」と説得されたケースや、会社から「健康診断の結果が悪いので病院に行くように!」と言われた場合に使う事になります。

 その一方で、「must」は外的要因ではなく“自分の意思”から「~しなければいけない」と感じた時に使われるフレーズとなるため、「I must go to the hospital.」は、「自分で体調が悪いのを自覚していて、病院にいかなければいけない」と言うニュアンスを持ちます。

友人との電話中に「have to go」

 例えば、友人との電話中に話が盛り上がり、ついつい長話になってしまいました。

 しかしながら、気が付けば「オンライン英会話ガイドを使って英語学習をする時間が迫っています(笑)」そう言う時には、“本当は君と、もう少し話していたいんだけどレッスンの時間なんだ”と言う外的要因のニュアンスを持った「have to」が使われます。

実は「have to」と「must」は置き換えできない

アルファベットが記載されたサイコロ

 ここまで紹介してきた内容で、「“have to”と“must”は意味が違うんだよ」と言う事を理解して頂けたと思うのですが、それでも日本の中学や高校の英語授業では「have to」と「must」を同等の意味として“置き換えなさい”と言う問題が出されています。

 高校の英語教師の方に質問をしてみると、「“have to”と“must”のニュアンスの違い」について知っている講師と言うのは余り多く無いそうで、知っている講師も「高校受験のために生徒が混乱する知識を教えられない」と言う理由から、「生徒に違いを教えない」ケースがほとんどだそうです。

 オンライン英会話ガイドを現在読まれている方も、「“have to”と“must”は同等の意味」と思われている方が“ほとんど”、と言うのはその理由からです。

 しかし、実際に英会話で使うようになったり、仕事として英語を利用するようになると、「have to」と「must」の使い分けは大切で、間違った使い方は相手に悪い印象を与えてしまう事もあります。

 そこで続いては、危険な「have to」と「must」の置き換えについて紹介してみたいと思います。

主語が「You」だと危険な置き換え

 まず「must」は、強い表現の「~しなければいけない」と言う意味になりますが、実は「have to」は「~する必要が有る」と言うニュアンスから派生した「~しなければいけない」と言うニュアンスになります。

 そのため、主語が「You(あなた)」の場合には、「You must study now.」と言うと、「あなたは、今勉強しなければいけない」と言う命令的なニュアンスになるのに対して、「You have to study now.」と言うと「あなたは、今勉強をする必要がある」と言う要求や要望と言うニュアンスを持ちます。

 そのため、例えば親が子供に対して「You must study.」と言う事は有りますが、部下が上司に対して「You must check this report.」と言うと、その後の仕事が上手く運ぶかどうか非常に疑問視してしまう表現になります。

 特に、この2つのフレーズ「have to」と「must」の置き換えについては、主語が「I」の時以外には注意して使い分けて頂きたいと思います。

「have to」と「must」は置き換え可能時に

 これまで「have to」と「must」について、その意味(ニュアンス)の違いについて解説してきましたが、このように意味が違うようになるケースと言うのは「have to」と「must」の置き換えが可能な時のみに成立します。

 例えば、「must」は過去形が無いため、過去時制となる場合には「have to」と「must」の違いは無くなってしまいます。

To page top ページの先頭へ